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 ● 8月17日 (第 7 話)

総婦長の玲子(鷲尾真知子)が来月に迫った救急救命士の資格試験の受験者を募った。
「こんなにクソ忙しいのに、試験なんて!」
冴(財前直見)は鼻先で笑った。

「看護婦を一生の仕事だと自覚している人には受験を勧めるよ。」
公平(吉田栄作)の一言で冴はガラリと態度を変えた。
「私、受験します。」
いつものこととはいえ、恵子(横山めぐみ)とまゆみ(安西ひろこ)は呆然となった。


萌子(星野有香)の妹、亜沙美(清水千賀)が急患で運び込まれてきた。軽い貧血だったが、萌子のたっての希望で入院することになった。両親を早くに亡くした萌子は姉妹どちらかが医師になると誓った。

「うちは駄目やったけど、亜沙美なら医学部へ絶対に行ける。立派なお医者さんになってや。」
週末には大学入試の模試テストが控えている。万全の体調で受けさせてやりたいと、妹思いの萌子が入院を強引に決めたのだ。

「へえ、あんたの妹が医学部ねえ。」
「妹はデキが違うんです。」
冴がからかうと、萌子はムキになって怒った。どんな自慢の妹なのか、冴は亜沙美の病室に、顔を出してみた。

「あんた、良い姉貴を持って幸せだよ。萌子とは友達だから、あんたともヨロシク。」
冴から手を差し出したというのに、亜沙美は握手しようとしない。
「私、あなたとなんか友達になりたくありません。出ていって下さい。」
冴はけんもほろろに追い出された。


「萌子の妹だから仲良くやろうと思ったのにさ。」
その夜、冴が母親のあき(夏木マリ)と五郎(坂田聡)を相手にグチをこぼしていると、携帯電話が鳴った。
「助けて、看護婦さん。」

「誰?もしもし。」
しかし返事はなく電話は切れた。
「行ってみる!」
冴は深夜の病院へ向かった。

冴が裏口から入ろうとすると、足元に女性物の財布が落ちていた。何気なく拾って、真っ暗な廊下を進んでいくと、突然懐中電灯の光を顔に当てられた。悲鳴が響き、やがて廊下の灯りが点いた。夜勤の恵子だった。

「どうしてこんな時間にいるのよ。」
「それは電話があって。」
そこへ入院患者の駒田(田根楽子)が血相を変えてやって来た。

「あたしの財布が盗まれたのよ!」
冴の持っていた財布を見て、駒田が叫んだ。
「それよ!まさか、あんたが盗んだの?。」
「冗談じゃないわよ。」

いつしか廊下は騒ぎを聞きつけた患者でいっぱい。恵子は冴と駒田をナースステーションの中へ連れて行った。
「みなさん、病室へ戻って下さい。」
患者たちの一番後ろで、小さく微笑んでいる亜沙美の姿に気づいた者は、誰もいなかった。


 あの電話は騒ぎを起こすために、わざわざかけてきたものではないか。翌朝、冴は恵子に昨夜、廊下の公衆電話を使っていた者がいなかったか聞いた。
「そんなの分かんないわよ。」
「それじゃ、私が困るのよ。」
2人が言い争っていると、萌子が駈けてきた。

「静かにして下さい。昨夜もうちの妹、えらい迷惑したんですよ。模試テストに響いたら、どうしてくれるんですか!」
萌子のすごい剣幕に、冴は返す言葉もなかった。

模試テストまであと2日。萌子は久美子(京野ことみ)に無理やり家庭教師を頼み込んだ。
「高い入院費を払ってんのよ。これぐらいのサービス、あってもええやろ。」
呆れ返る春子(幸田まいこ)とかなえ(宮川由紀子)などお構いなし。萌子の頭の中にあるのは亜沙美のことだけ。


 冴は一樹(剣太郎セガール)から携帯電話を手渡された。さっき一樹の病室に亜沙美がやって来て、落としていったという。
「あの女の子、すごく心が痛んでいるようで、それがとても心配なんです。」

携帯電話があれば、消灯後でも病室からかけることができる。
「これ、私が返しておきます。」
冴はすぐに亜沙美の病室に向かった。
「病院じゃ使っちゃいけないんだよ。そういえば昨夜、私に悪戯電話してきたヤツがいたんだ。」

しかし亜沙美は知らんぷり。そこへ萌子が入ってきた。
「この人、夕べの騒ぎで、私がお姉ちゃんに告げ口したのが気に入らないの。」
「な、何言ってんだよ。」

萌子は妹の言葉を信じた。
「先輩のこと、見損ないましたわ!今後一切あんたとは口ききません。最低や!」
冴は病室から追い出されてしまった。

久美子あてに豪華な花束が次々と届いた。
「何かの間違いじゃ。」
久美子が首をひねっていると、花屋が冴の名前を呼んだ。
「これ、請求書です。電話で注文されたの、あなたですよね。」
「えっ?」
冴は全く身に覚えない。

花束だけでは済まなかった。ピザ、お寿司、天ざるがそれぞれ20人分ずつ届けられた。どれも冴が注文したことになっていた。こんな悪戯をするのはアイツしかいない。
ナースステーションを飛び出した冴は、亜沙美の病室に向かった。

「私のどこが気に入らないのか知らないけど、文句があるんなら、面と向かって言いな。」
亜沙美がとっさに隠そうとした携帯電話を冴が取り上げた。
「嫌いなのよ、友達って言葉、平気で使う人が!」恵子とまゆみも亜沙美の激しい怒りに驚いた。

「まさか、先輩の名前を使ってお花を注文したり、ピザを頼んだのはあなただったの?」
亜沙美が黙っていると、萌子が血相を変えて食ってかかってきた。

「この子はそんなアホみたいな悪戯する子やありません。妹はうちの宝なんです。将来は医師になってくれる。それがうちの夢なんです。明日は模試テストです。出ていって下さい。」
萌子は亜沙美を抱きしめた。冴は何も言えなかった。


翌朝、冴がまだ自宅でまどろんでいると、携帯電話が鳴った。
「もしもし?」
相手は一言も発しない。
「あの子!」
冴は病院に駆けつけた。宿直は萌子。

「妹は?一緒に来なよ。確かめる。」
「今日は大事なテストです。妹の睡眠を邪魔しないで下さい!」
病室の灯りを点けた。床には破られた参考書が散乱している。そしてベッドに亜沙美の姿はなかった─。


カンテーレ