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 ● 8月31日 (第 9 話)

公平(吉田栄作)が現代医療の最前線を紹介するテレビ番組にゲスト出演した。
「先生、今日はどうもお疲れ様でした。」

収録を終えた公平に頭を下げたのは三上彩乃(とよた真帆)。このテレビ局を代表する敏腕ディレクター。
「ウチの報道は三上ちゃんでもっているようなもんだよ。」
プロデューサー森田(山崎大輔)からのお世辞も軽く聞き流している。

「カッコイイわね。」
スタジオの片隅から見学していた恵子(横山めぐみ)もウットリながめている。しかし冴(財前直見)は「ふん、そうかしらね」と冷ややかな反応。公平に近づくイイ女はみんな敵なのだ。


公平がスタジオを出て行こうとした矢先、三上がめまいを起こした。公平が抱きとめた。
「お疲れのようですね。うちの病院に一度、検診にいらっしゃいませんか。」

「先生に診ていただけるのかしら。」
公平に微笑みかける三上を見て、冴のイライラはさらにヒートアップした。
「あたしの公平先生に手を出すなんて!図々しい女ね。」


数日後、セントマーガレット病院に三上が検診にやって来た。約束どおり公平が診察した。
「詳しく調べたほうがいいですね。」

三上は仕事の忙しさを理由に難色を示したが、公平はなかば強引に検査入院を決めさせた。
「彼女はオレが担当するから。」
冴はますます面白くない。三上は診察を受けながらも、取材のビデオテープをチェックしていた。仕事のことしか彼女の頭の中にはないようだ。

「あのー、三上さんみたいな女性になるには、どんなことをすればいいのですか?」
冴はぎこちない笑みを浮かべて訊ねてみた。
「そういうことは他人に聞かずに、自分で考えるっていうことかな。」
にべもない返事に冴はまたもやむかっ腹を立てた。


「相手は病人なんだから怒ったりしたらダメよ。」
冴がナースステーションで不満をぶちまけていると、恵子にたしなめられた。久美子(京野ことみ)に三上の病状について聞いた。
「メニエール病の疑いがあるのよ。」
耳鳴りや難聴を伴う激しいめまい。

「彼女の場合は仕事のしすぎが原因よ。このまま放っておけば過労死につながる恐れもあるわ。」
ベッドの上でたっぷり休養をとることが一番大切だが、ワーカホリックの彼女がおとなしく従うとはとても思えない。


三上の病状は悪化していた。
「仕事のストレスにさらさないことが何よりの治療だ。」
公平は入院治療を決めた。

しかし三上は病室でおとなしくしていなかった。ひっきりなしにテレビ局に電話をしては、部下に仕事の指示を出している。
「今はゆっくり休んだほうがいいわよ。」
見かねた冴が忠告すると、三上は食ってかかってきた。

「私たちの業界は休んだら、すぐ誰かにとって代わられるのよ。才能のあるヤツは、後から後から出てくるんだから。」
三上は吐き捨てるように言うと、また携帯電話をプッシュし始めた。


帰宅した冴はいつものように、あき(夏木マリ)と五郎(坂田聡)相手にグチをこぼした。
「でも、まあいいじゃないか。そんなに夢中になれる仕事をしているなんて、幸せな人だよ。」
あきは何気なくつぶやいた。しかし冴には三上が仕事に幸せを感じているようにはとても思えなかった。


プロデューサーの森田が見舞いにやって来た。
「驚いたよ。しばらく入院なんて。」
「検査が済んだら、明日にでも退院できますから。」

救急ハート治療室 第9話
「そりゃ良かった。来週は絶対に現場復帰、お願いしますよ。」
冴がにらみつけているのにも気づかず、森田は満足そうに病室を出ていった。

ところが冴は森田が廊下の公衆電話で声をひそめてしゃべっているのを目撃した。
「三上はしばらく入院だな。アイツもそろそろかなって思っていたんだよ。お前もチャンスなんだから頑張れよ。」

三上は病室を無断に抜け出して、スタジオに駆けつけた。彼女が担当している生番組の本番直前だ。ディレクター席には部下のアシスタントディレクターの川崎(六角慎司)が座っていた。

「やっぱり女はダメだな。これからは川崎ちゃん、キミの時代ですな。」
愛想笑いを浮かべた森田が川崎の肩をもんでいる。
そこへ三上はつかつかと近寄ると、川崎を席からどかせた。

「そこは私の席よ。」
川崎はムッとしながらも立ち上がった。
「本当に大丈夫なのか。」
森田が不安げな表情をのぞかせた。

本番十秒前。その時、三上は激しいめまいに襲われて倒れた。
「やっぱりダメなのかよ。川崎代われ。」
三上は薄れゆく意識の中で、森田の声と救急車のサイレンを聞いていた。


三上はセントマーガレット病院に搬送されてきた。
「かなり体が衰弱しているな。絶対に安静が必要だ。菅野君、後はよろしく。」
処置を終えた公平が病室を出ていった。冴が付き添っていると、やがて三上が目覚めた。

「私、また倒れちゃったのね。」
「どうしてそこまで仕事をするの。死んだら何にもならないじゃない。」
三上はポツリポツリとしゃべり始めた。彼女は小さい頃に両親を亡くしていた。親戚からは冷たくされ、誰も相手にしてくれなかった。

「でもこの仕事をするようになって変わったわ。」
頑張れば評価された。周囲の人間も彼女を頼りにしてくれた。だから仕事をしていないと不安だった。仕事が彼女のすべてだった。
「でも、もう終わり。放送中に倒れちゃうなんて。」
冴は慰めの言葉すら思いつかなかった。

三上は番組から降板させられた。後任ディレクターには川崎が抜擢されたらしい。冴は三上が取材ノートを焼却炉に投げ入れている姿を目撃した。
「もう仕事なんか辞めるわ。あなたには本当にお世話になったわね。」
三上はまるで抜け殻のようになってしまっていた。

そんな彼女をたずねて、山口拓海(森 廉)という少年が病室にやって来た。少年はかつて三上が番組で取材した野球少年だった。



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