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 ● 9月21日 (最終話)

花火大会から戻った一樹(剣太郎セガール)はそのまま処置室に運び込まれた。
「花火大会へ行ったのはボクの意志です。菅野さんの責任を追及しないで下さい。」

一樹は息を引き取るまでの1週間、公平(吉田栄作)と久美子(京野ことみ)に繰り返し訴えた。しかし一樹の遺族たちは納得しなかった。責任を痛感した冴は院長(秋野太作)に辞表を提出した。

「あなたが辞める前にこの病院がなくならないように頑張りたいと思っています。」
セントマーガレット病院の経営はそこまで追い込まれていたのだ。理事会で結論が出るまで、冴は今まで通りの勤務を続けることになった。


公平の娘の未来(碇由貴子)がICUから一般病棟に移されてきた。
「今は発症を薬で抑えているけど、いずれはオペが必要でしょうね。」
恵子(横山めぐみ)から聞かされて初めて、冴は未来の容態の深刻さを知った。


病室の未来は一時たりとも公平から離れようとしない。公平がオペのため出ていこうとすると泣き叫んだ。
「お姉ちゃんがずっとついているから大丈夫よ。」
未来を抱きしめる冴の背中に、公平の声が飛んできた。
「泣き止まなかったら、鎮静剤を打ってくれ。」

その一言は父親の顔を知らない冴にとってもショックだった。
「イヤだろうな、父親にあんなことを言われたら。」
冴はあき(夏木マリ)から亡くなった父親は医師だったと聞かされていた。

「本当はどっかで生きてるんじゃないの?。」
冴は軽い気持ちであきに聞いた。
「バカだね、この子は。死んじまったんだよ。とっくの昔に。」
一笑に付したあきの口調には、どこかしら不自然さが感じられた。


翌日、あきは五郎(坂田 聡)たちを連れて、健康診断を受けるためにセントマーガレット病院にやって来た。
「受付はどこでしょうか?。」
あきが声をかけたのは院長だった。

院長はあきの顔をじっと見つめると聞き返してきた。
「ひょっとして、あきさんじゃないですか?横須賀の病院前の喫茶店でウェイトレスをしていた?」

「いいえ、違いますよ。人違いです。」
あきは即座に否定した。
「あまり似てらしたものですから。」
院長が立ち去ってから、五郎はあきに聞いた。

「昔、横須賀で医者と恋に落ちて、冴さんを産んだって言ってたじゃないですか。」
あきの返事は素っ気なかった。
「そんな昔のことは忘れたよ。」


深夜、未来が発作に襲われた。公平は学会で出張中だ。冴は夜通しつきっきりで看護にあたった。翌朝、2人は未来のベッドで目覚めた。
「行っちゃイヤ。」
未来は冴にしがみついた。

「未来のママになってくれる?ダメなの?。」
すがりつくような未来の目を見て、冴は思わず「ダメじゃないよ」と答えてしまった。未来は安堵の表情をのぞかせた。


冴は学会から帰ってきた公平に猛然と食ってかかった。
「仕事なんかみんなやめて、どうして未来ちゃんについててやらないんだよ!あんた、それでも父親かよ!」
「菅野さん、口がすぎるわ。」

救急ハート治療室 最終話
久美子が割って入っても、冴の怒りは収まらない。公平は来週、ニューヨークへの出張が予定されていた。
「そんなに自分の出世が大事なのかよ!寂しがっている娘はどうでもいいのかよ!」

公平はようやく重い口を開いた。
「オレは父親失格なのかもしれない。しかしキミに言ったはずだ。患者に感情移入をしすぎるなと。そんなことはナースの仕事じゃない。これはオレと未来の問題だ。余計な口をはさまないでくれ。」
医局を出て行く公平の背中に、冴は何も言えなかった。


「ちょっと甘やかしすぎなんじゃない?あなたは未来ちゃんの専属じゃないのよ。」
恵子から注意されても、冴は未来との約束を裏切るわけにはいかなかった。

「見捨てられないわよ。あの子は小さい頃のあたしと一緒なんだよ。」
未来の病室へ向かう冴の後ろ姿を見て、萌子(星野有香)とまゆみ(安西ひろこ)はため息をついた。

「完全にハマっちゃったわね。」
冴が未来の遊び相手になっていると、総婦長(鷲尾真知子)に呼び出された。理事会で冴の辞表受理が決まったという。
「懲戒免職は免れたわ。今までご苦労さまでした。」

覚悟していたとはいえ、冴はショックを隠し切れなかった。
「お世話になりました。」
冴は頭を下げると総婦長室を出ていった。


「でも未来ちゃんとは別れたくない。ニューヨークなんかに行かせたくない。」
冴はあきに苦しい胸の内を打ち明けた。
「お前の子供じゃないんだからね。他人様のお嬢さんなんだよ。」
あきの言葉は冴の耳にうつろに響いた。


「今までお世話になりまして、ありがとうございました。」
冴はナースステーションで同僚たちに最後の挨拶をした。
「先輩、元気を出して下さいね。」
冴が未来の病室にやって来ると、公平が立っていた。

「未来にはもう会わないでくれ。娘はオレが一生かけて守りぬく。誰の助けもいらない。」
冴は公平をにらみ返した。

「分かったよ。未来ちゃんをニューヨークに連れて行かないでほしい。あたしが言いたいのはそれだけだ。」
冴は未来に会うことなく病室の前を通りすぎた。


病院の玄関前に五郎のライトバンが停まっていた。冴の荷物を運ぶために来てもらったのだ。
「ありがとう。ちょっと待ってて。」
冴に続いて五郎も車から離れた。

物陰から2人の様子をうかがっていた未来が素早く荷台にもぐりこんだ。やがてライトバンは冴の実家へ向けて走り出した。
「未来ちゃんがいない!」
その頃、病院では大騒ぎになっていた。



カンテーレ